教会などのステンドグラスで使われている「絵付け」という技法があります。
ガラスの絵の具で線や影・色を、窯で焼き付ける技法です。
今回ミュシャのステンドグラスパネル作りました。
この絵付けをするために必要な絵の具のお話しをちょっとしますね。
グリザイユ
グリザイユは、線と影をつけるためのもので、焼成温度は670℃くらいです。
グリザイユはこちら
混色も可能ですので、こげ茶をもっと濃くしたいなぁというときは黒を少し混ぜたりできます。
線はワインヴィネガーで絵の具を溶くといいです。
影は水で大丈夫です。
シルバーステインというものもあるのですが、こちらは裏側に使い
焼成温度は600℃で、焼成後粉を拭き取ります。
金色になるので、髪の毛などの部分に使います。
イエローとオレンジがあるのですが、オレンジの方が濃いめの黄色って感じです。
エナメル
エナメルとは、色をつけるための絵の具で、フューズマスター社のもので600℃
フェロー社のものは550℃~580℃です。
色や濃さで温度は調整します。
エナメルは水で溶いて使います。
混色も可能です。
だいたいそんなに粉の状態からは色は変わらないことが多いのですが
これが→ | 結構みどり |
ピンクかと思ったら→ |
オレンジ! |
これもピンクかと思ったら→ |
これもオレンジ! |
一度、桜のテーブルを制作してて、ピンクだと思ったらオレンジになっちゃいまして、びっくりしたことがあります。
シールにオレンジって書いてあるのに、ピンクになるのかなぁと思ったんですよね、うっかりしました。
焼いてしまったら、取り返しつきません。
で、いつもは使う色だけちょっと試し焼きとかしてたんですが
今回ミュシャのパネルを作る機会があったので
全色試し焼きしました。
まぁ、水の量とかで色の濃さは多少変わります。
温度も高いと色が飛んでしまいます。
薄いなぁと思ったら、また描いて焼いてください。
各ページに焼成サンプルの画像載せましたので、ご参考までに。
ミュシャのステンドグラスパネル
光りを透かすとこんな感じですが、たぶん夜とかは↓こちらに近くなるかなぁ。
ケイムでの組み立て途中ですけども。
頭部分の線を描いたとこです。
このあと影とか髪の毛の色とか付けます。
何回も焼きます。
で、頭の部分と肌色部分は一緒のガラス使ってまして。
フリモントのベージュなんですが、なんだか薄い。。。
他のベージュもいろいろと検討したんですが、濃い。。。色黒になってしまう。。。
ということで、上の薄いガラスにして
裏にエナメルのライトベージュを全面に塗ってみたんです。
まぁ♪良い感じの肌色になりました。
窯から出したときにはガッツポーズでした。
が、なかなか周りにこの喜びは伝わらないので、一人でひっそりガッツポーズです。
そして、なぜ裏に塗ったかというと、
1:裏に着色した方が濃いめに見える
2:絵の具の塗った部分は多少ザラザラすることもあるので、表面はツルっとさせたかった。
ということです。
サイズは145cm×70cmくらいのパネルです。
なかなかの大作でした。
他の部分もいろいろと模索しながらの制作でしたので
とても思い出に残る作品になりました。
絵付けを入れると、また普段とは違ったステンドグラスになりますね。
ステンドグラスって奥が深いです。
だから楽しいですね。
松島 忠一
4月 23, 2020 at 6:21 pm
素晴らしいですね
和泉久子
4月 24, 2020 at 9:38 am
ありがとうございます。頑張りました。
北村優
6月 25, 2022 at 2:02 pm
こんにちは。エナメルを溶いた時の濃度はどの位に溶けばよいのでしょうか?
塗るときは、そのまま筆で塗るのですか?バジャーで伸ばすのですか?
超初心者ですみません、よろしくお願いいたします。
和泉久子
6月 27, 2022 at 9:11 am
こんにちは。エナメルですが、とりあえずマヨネーズくらいの固さで溶いて
水を足しながら使います。
あまり薄いと焼いたらほとんど色が飛んでしまいます。
塗る時は筆でそのままでいいです。
広い範囲を塗りたい時は、日本画用の筆先が平たくないものに
たっぷり取って塗り広げます。
水彩画のような感じで考えていいと思います。
ならしたい時にバジャーで伸ばします。
バジャーは塗るというより、均一にするためのブラシです。