今回はパテ埋めの仕方です。
パテには粘土状のものと、オイルと粉を混ぜるタイプがあります。
![]() |
![]() |
今回は私も使ってます粉とオイルのものでの埋め方です。
パテはなぜ必要なの?
まず、パテ埋めの必要性のお話しです。
パテはケイム(鉛線)で組んだステンドグラスパネルの時に必要になります。
ケイムの溝は断面で見ますと5mmくらいあります。
ガラスの厚みは3~4mmなので、どうしても隙間があきます。
ガラスピースが小さくて、組み終わった後、ケイムの中で動く場合もあります。
その隙間にパテを埋めて、固定してしまいます。
パテを埋めないと、ケイムの中でガラスがカタカタします。
それ以外にも、ステンドグラスパネルの強度を強める働きもあります。
隙間を埋めることによって、パネルのしなりを少し抑えます。
裏も表もパテは埋めないといけないの?
こちらもよくされる質問です。
私は両面埋めています。
が、たまに修理などの依頼を受けて、他の方の制作したパネルを見ますと
表だけされてる方もいます。
組んだ時点で、ガラスがしっかりと下になっていればいいのですが
浮いてる場合もあるので、私は両面しています。
![]() しっかりとガラスが下になってる |
![]() ガラスが浮いてしまってる |
パテ埋めに必要なもの
1:パテA+B(写真上)
2:パテを混ぜるゴムベラ(写真下中央)
3:パテを埋めるゴムコテ(写真下右)
4:混ぜる容器(写真下左)
(こちら黒くゴツイですが、初めは普通のプラスチックの容器でした。
使い終わったら、パテを布でふき取ってはいるのですが、表面に残ってしまい
またそこでパテを混ぜて、また表面に残ってしまい~~~の繰り返しで
まるで「すずり」のようになってます)
パテA+Bのところに黒い汚い袋ありますが、これはパテを黒く着色するための粉です。
後ほど説明します。
まずはパテを混ぜていきます
![]() 粉を先に入れて、オイルを足します。 ゴムヘラで混ぜていきます。 |
![]() 柔らかいなぁと思ったら、粉を追加して、また混ぜます。 |
![]() 固さは、タラーっと流れない程度です。 |
![]() グーッと押し上げた時に手ごたえがあるくらいがいいです。 |
パテの固さですが、1日くらいで固まるので
翌日作業できるのであれば、固めにします。(パンをこねた時よりは少しゆるい程度)
2日後くらいに作業したい場合は、緩めでいいです。(埋めた時に流れてしまわない程度。ホットケーキの粉を混ぜた時よりはちょっと固め)
上の写真を見ていただけると分かるのですが、こちらのA+Bのパテは
その時の入荷によって、黒くない場合があります。
固まったら黒くなるわけではないので、気になる方は顔料を入れます。
![]() 91006パテ用顔料黒 パテA+B用 |
炭の粉みたいな感じです。服に付いたら危険な感じのものです。
それを入れて混ぜます。
![]() ちょっとで大丈夫です。 小さじ1程度です。 |
![]() 足りないんじゃない?と思いますが 混ぜてるうちに黒くなっていきます。 |
![]() こんな感じ。 足りない場合は、また足してください。 |
![]() また固さの話しですが、コテですくえるくらいは固くないといけません。 |
さぁ、ケイムの隙間に埋めていきましょう。
ゴムコテで埋めていくのですが、ゴムベラで埋めてもいいのですが
コテの方が私はやりやすいです。
ホームセンターの左官コーナーに売ってます。
![]() べちょーんとパテをある程度の量をガラスに乗せておきます。 必要な量のパテをコテ先ですくいながら、ちょいちょいと埋めていきます。 |
![]() 1列ちょいちょいと埋めて |
![]() はみ出た分をコテ先でスイーッと取ります。 |
![]() 他の部分もちょいちょいと |
![]() 出たとこはスイーッと取る |
![]() 4方向できました。 |
![]() これを、全部のパーツしていきます。 |
埋め忘れがないために、ガラス1ピースの周りを順番に埋めていくのがいいです。
それでも、埋め忘れてしまう部分てあるんですけどね。
この後の拭き取り作業の時に埋め忘れがないか見ながら作業します。
埋め終わったら、拭き取ります
![]() パテ埋めの後は、パテがあちこちに残ってます。 |
![]() タオル地のウエスで必要ない部分のパテは拭き取っておくと、後の作業がラクです。 ケイムの隙間にパテを埋める気持ちでグイグイ拭きましょう。 ケイムの表面も軽く拭いておくといいです。 |
![]() 全体拭き終わりました。 |
![]() 拭き取った部分はこれくらいパテが残ってて大丈夫です。 |
ひょいと裏返せれるパネルの場合は、半田もパテ埋めも両面一気にしてしまいます。
ハンダを両面してから、パテを両面埋めましょう。
パテを何回も混ぜるの大変なので。
それと、パテは1回混ぜると翌日は固くなってて使えません。
なので、なるべく無駄のない量を混ぜましょう。
でも、大作になると、簡単に裏返しができない場合があります。
この場合は、表のハンダが終わった時点でパテ埋めをして
パテ取り、仕上げまでしてしまいます。
それから裏返して(パテで強度も出て裏返しやすくなります)ハンダ・パテ埋めです。
表側のパテ埋めをした時のパテが裏に流れこんでますので
ハンダの前に、ハンダ付けする部分のパテを綺麗にとってから半田します。
ちょっと面倒です。
パテを寝かしてあげましょう
パテが乾くまでに1~2日かかりますので、ちょっと作業は中断です。
机に面した部分のパテは乾きづらいので、木の棒などで浮かせてあげると
裏面も同じくらいの速さで乾きます。
![]() パネルがしならないように 等間隔で何箇所か木の棒をかませます。 |
この時、パネルがしなっているとそのまま固まってしまうので、注意してください。
それと、大きなパネルの場合(パーツが多い場合も)、表も裏も固まってしまっていると、表のパテを取って仕上げをしている隙に裏もパテもどんどん乾いていきますので、大作の場合は、木の棒はかませないで裏は作業台にそのままつけて置きます。
表の作業が終わってから裏返してまた乾かしましょう。
カチカチに固まったパテは、この後の作業が大変です。
次は、ちょっと長めに乾く時間が欲しい場合です。
(土曜日にパテ埋めして、パテ取りは月曜にしたいんだよなぁという場合です)
![]() 新聞をかけてあげてください。 次の作業までの時間を考慮して 乗せる新聞の枚数を調整します。 |
![]() 全体に乗せてあげてください。 |
![]() 新聞だけでは不安な場合は ゴミ袋とかプチプチをさらにかけます。 |
この乾く時間ですが、季節や気候によっても変わります。
乾燥や湿気も関係してきます。
ので、一概に何時間とは言えないです。
真夏なら早いかとおもいきや、あまり湿気が多いと思ったより乾きが悪かったり。。。
たまにつまようじで固さを確認してくださいね。
パテが乾いたらパテを取ります
![]() つまようじで取ってみて 濡れた感じがなければOKです。 |
|
![]() 角もしっかり取りましょう。 |
![]() ぐわ~っと取る時は、つまようじ2本使いがいいです。 1本だと折れやすいので。 細かい部分は1本がいいです。 |
![]() 全体のパテをとります。 |
![]() 取ったパテは掃除機で吸い取ります。 |
この掃除機なんですが、私は中古のものをパテ用に使ってます。
ホース部分にパテが付いて固まってしまったり、排気からパテの匂いが出てしまうので、自宅での掃除機を使うのはあまりお勧めしません。
手で、取ったパテを一生懸命取り除いてもいいと思いますが、掃除機がラクですよ。
最終磨きに入りますよ
![]() まずは工業用アルコールで |
![]() タオル地のウエスでゴシゴシと表面のパテをふき取ります。 ケイム部分とガラスも拭いてください。 |
![]() お次はガラスクリーナーで |
![]() 主にガラスを拭いて下さい。 |
工業用アルコールは、薬局で買えます。(ハンコいります)
ささっとクリーナーまでいったら、ケイムを磨きますよ。
![]() 車のワックスを使います。(液状) スポンジに乗せます。 |
![]() ギュッとして |
![]() パッとすると、調度いい感じです。 |
![]() それでケイムをゴシゴシ。 |
![]() タオル地ウエスで乾拭き。 ガラスに付いたワックスも拭き取ります。 |
|
![]() ワックス前はこんな感じのケイムが |
![]() ピッカピカです。 |
![]() これくらいパテがついてました。 |
このワックスですが、ケイムをピカピカにするのと、ケイムに膜をはって酸化防止もしてくれます。
これをしないと、ハンダ部分が酸化して白く粉がふいたりします。
さらに磨きがありますよ。
ワックスがガラスに残ってたりしますので、Tシャツ地のウエスで乾拭きします。
![]() 角の部分はつまようじも使って |
![]() ケイムのきわもつまようじで |
![]() ガラス表面も綺麗に乾拭きします。 |
![]() パネルを立てて見れるのであれば 立てて、光に透かして汚れが残ってないかチェックします。 |
磨き終わりました!
制作をしない人は、ケイムで組み終わったら
ほとんどの作業が終わったねと言いますが
ハンダ・パテ埋め・磨きも結構の作業です。
組み終わりで7割程度の作業完了ですね。
磨きも大変ですが、ここでしっかり綺麗にしないといけません。
はめ殺しの窓に付ける場合は、外側部分にはガラスが入ってますので
取り付け後は二度とガラスは拭けませんからね。
頑張って綺麗に磨きましょう。
注!)パテは服に付くと取れません。作業中は割烹着を着たり対策をしてくださいね。
オイルは亜麻仁油などが入っています。油絵の具や木製品の仕上げニスなどに使われているものです。匂いも結構しますので、換気しながらの作業をお勧めします。
結城 留実夫
10月 7, 2019 at 8:53 am
先達てケイムのパネルを制作したのですが、購入したい黒パテが硬くって詰め方が分からなく、シンナーで混ぜたら少し柔らかくなったので強引に作業を進めました。今回先生のご指導でよく理解できましたので、次回作品で実践させていただきます。
大変参考になりました。有り難うございます。これからもずっとご指導の程お願いいたします。
70歳のステンドグラス 初心者
和泉久子
10月 7, 2019 at 9:04 am
黒パテは固くなったら、袋に入ったまま
湯せんで温めると柔らかくなります。
次回試してみてください。
今回のは粉とオイルの説明でしたが、黒パテをつかってるのであれば
そのまま使った方がいいと思いますよ。
観音岬
4月 17, 2021 at 9:53 am
Hケイムを使って制作中です。黒パテまでおわりました。
最終ブラックパティーナで着色したいのですが、カーワックスで磨いて膜を作ってしまうとのりが悪くなってしまいますか?
和泉久子
4月 17, 2021 at 10:25 am
ブラックパティーナで黒くする場合は、先ににケイムを黒くしてから
カーワックスで磨いてください。
すぐに磨くと、パティーナがとれてしまうので
1日くらい置いてから、タオル地のウエスなどで磨いてください。
吉澤
6月 29, 2022 at 9:01 am
鏡の制作にケイムを使っていますが、その際も黒パテは必要でしょうか?
鏡だとパテは綺麗にとれるのか心配です。
宜しくお願いします。
和泉久子
6月 29, 2022 at 9:54 am
鏡のケイムですが、中側がコパーでハンダしているのであれば
特に必要ないかもしれません。
パテはガラスがカタカタしたいためなので、全部ケイムであれば必要になりますが、外側だけであれば埋めないこともあります。
鏡にパテが残るか、ですが
表部分は問題ありませんが、裏はもしかしたら黒く汚れが残るかもしれません。
裏にマスキングテープ等で養生してからパテ埋めするといいかもしれないです。